現職が経理の場合、転職も同じ経理を希望される方が多いです。また、営業や企画を経て未経験から経理に転職希望の方も多いです。ただ、経理はどの企業にもあって「なぜこの会社なの?!」と聞かれたら答えにくいこともありますよね。正直に言えば多くの方が「いまの会社よりも給料や福利厚生が良いから」ですが、そのまま伝えて良いものか、迷います。
今回は志望動機を尋ねられたときの切り返し方や、どうしても志望動機がまとまらなくなったときの転職方法についてご提案します。
目次
経理に適した転職時期
普通に考えると、ボーナス時期を超えると空きが出るように思えますが、経理部門においては少し異なります。もちろんボーナスをもらって退社する方もおられますが、経理の仕事で大事なのは決算時期、常識ある方ならよほどパワハラ等を受けていない限りこの大変な時期を乗り越えてから退職されます。
多くの企業は3月が決算、その処理等をするのは4月~5月になります。つまり、決算時期に活躍してもらうために年明けくらいに募集をかけ自社に合う人材を選ぶのです。また、決算時期が終わりひと段落、決算賞与をもらって退職する方がおられます。この場合、9月の中間決算に向けて即戦力の募集をかけます。
逆に、年柄年中募集している企業は気を付けたほうが良いかもしれません。モラハラやパワハラが横行し新しく経理として入社しても続かず、人材が使い捨て状態になっているかもしれないからです。また、特別急いでいるわけではなく、よりハイスペックな人材を求めてダラダラと募集をかけているのかもしれません。
違う意味で「なぜこの会社に入っちゃった?!」にならないためにも転職者も記載されているおいしい内容だけに期待せずリサーチすることが大事です。
「なぜこの会社で経理がしたいの?!」
転職の際に必ず聞かれる志望動機、「なぜこの会社で経理がしたいの(他の会社にも経理はあるでしょ)?!」に対して、お決まりの返答では内定しません。
特に経理未経験の方には具体的な説明を求めるでしょう。たとえ募集要項に「未経験歓迎」と記載していても、誰でも良いわけではなく明確な志望動機を聞き人柄が良く経験豊富な人材を得たいのです。
経理は会社の財産を扱う大事な部署、転職希望者に意地悪な言い方をすると思ってしまいますが、企業としては自分の会社で長く働き活躍してほしい、軽い気持ちで経理を考えてほしくない、だから腹の内はわかっていてもあえて聞いてくるのです。
志望動機の本音を明確にする
私が転職する理由、志望動機は「いまの職場よりも条件が良い会社」でした。おそらく多くの方がそうだと思います。「転職したい」とぼんやり考えているだけではなかなか転職活動は進みません。「何としてでも辞めたい、でも転職しないと食べていけない、だから転職活動を真剣にするんだ」まずはご自身がなぜ転職したいと思ったのか、理由を明確にしましょう。その部分を整理し明確にしておくと志望動機を伝えるときにモタモタしなくなります。
- 職場の人間関係が悪いから
- モラハラ・パワハラに耐えられないから
- これ以上の出世が見込めないから
- いまの職種が向いていないと感じるから
- 職場が自宅から遠いから
- 給料が安いから
- 休みが少ないから
このように転職したい理由を挙げると、何としてでも転職を成功しより快適な人生にしたいと思うはずです。特に人間関係が最悪な職場にこれからもずっと通い続けることができますか?!優良企業は個人的に「アイツ嫌い」と思っても仕事に私情を挟みませんが、モラハラやパワハラが横行するようなグレーゾーンやブラック企業の多くは人間関係の悪化を仕事にも持ち込みます。
本音は経理の仕事さえできればどこでも良くても、転職を成功させたいなら志望動機を明確にし貫く必要があります。
経理に求められること
単に現職よりも条件が良いところに転職したいだけでも、未経験から経理の仕事をする場合も、求められるものを押さえることは大事です。
- 経験や実績
- スキル
- 仕事へのモチベーション
経理の仕事でイメージできるのが出納や伝票のチェックですが、蓋を開けると幅広く本当に知識が必要な仕事であることがわかります。現職で経理の仕事をされている方は「当たり前でしょ」と思われるかもしれませんが、資格を持っていなくても簿記2級レベルの知識が備わっていることになります。
つまり実績やスキルがあるほうが断然有利、有資格者を未経験者を並べたとき、自分が採用担当ならどう考えても有資格者を採用しますよね。未経験から経理へ転職を希望される場合や、現職が経理でまだ簿記2級の資格を取得しておられないなら、試験を受けて取得しておいたほうが良いです。
「未経験OKの」と記載されていた場合も、まったく知識がない状態で入社しすべてを教えてもらえるという甘い考えを持たない方が良いです。資格を取得しておくと「なぜこの会社?!」と志望動機を問われても貴社に入社するために簿記2級を取得した、未経験だけれど学ぶ意志や働くモチベーションが備わっているという考えを示すことができます。
通信教育で取得できる時代(独学で取得された方もおられますよ)、未経験から経理の仕事を目指されるなら最低限の知識を得てから転職活動をしましょう。
「他に経理はたくさんあるのになぜこの会社?!」に対して伝えるべきこと
現職を辞めたい理由を明確にし、できる限りの資格を取得したら、次は何としてでも転職するために志望動機を固めなくてはなりません。
志望動機の第一歩は「貴社がいい」
「なぜこの会社で経理?!」の質問に対していちばんに応えるべきは「貴社がいい」という気持ちです。営業や企画といった職種と違ってどの企業へ行っても同じような業務になりがちなのが経理です。貴社でないと嫌だという気持ちをはじめにしっかりと伝えることで採用試験をたくさん受けに来るなかのひとりではなくオンリーワンとして記憶に残すことができます。
また、たとえ経理未経験であっても非正規の仕事をしていても、社会経験はあるはず「これまで培ってきたキャリアを御社で伸ばしたい、成長したい」という考えもしっかりと伝えなくてはなりません。
志望動機に合わせて応募する企業の話題を盛り込む
貴社でないとダメなんだという気持ちを伝えたら、次は希望する企業の情報を盛り込み志望動機を伝えます。面接が決まったら希望する企業について調べる必要があります。大切なのは多少歯が浮くような言葉になっても応募する企業の魅力を伝えることです。
- 希望する企業が扱う商品を知る
- 希望する企業の業界について知る
- 希望する企業の理念を知る
- 希望する企業の社風を知る
希望する企業のホームページを見ると社風や経営理念、また取り扱っている商品や売りにしているものなどもすぐにわかりますよね。経理にとって直接関係がない部門であっても、自社商品が好きであったり経営理念について知ってくれていたりすると事前に調べてくれたのだと嬉しくなるものです。
また、その業界について詳しく調べているということも真摯に取り組んでいるという気持ちを伝えるうえで役にたちます。
ホームページなどを見て社員が生き生きと働いている様子が伝わったことを伝えるのも良いですが、企業の商品やイベントに関わった体験談等を交えるとより説得力が増します。「貴社のひとりひとりが主役という社風のもとで働きたい」「ひとりひとりを大切にする貴社で働きたい」などスキルアップをはかりたいという考えを伝えつつ社風を志望動機にすると良いでしょう。
志望動機で言ってはいけないこと
現職を批判するような志望動機を絶対に言うべきでないことは百も承知でしょうが、どんなに資格を取得したりスキルがあったりしても、下記のような志望動機を伝えられると一緒に働きたくないと思ってしまいます。
- 数学が得意だから
- 営業職に向いていなから
- メリハリがある仕事だから
正直、数学が得意でなくても経理の仕事はできます。むしろ丁寧な業務と一緒に働く仲間との協調性が大事なので、数学ができたところで「それがどうした?」という感じです。
プレゼンテーションをしたりかけ引きをしたりして契約をとる営業ではなく内勤で決められた仕事をこなすことを得意とする方もおられますが、それを正直に伝えるのは避けた方が良いです。営業に向いていないから経理の仕事に就くということは、しばらく仕事をして「経理に向いていないから辞めます」があるかもしれないと思われるからです。
また、経理の仕事は忙しい時期と業務が落ち着く時期が明確にわかるため、企業によっては他の職種よりも休暇が取りやすい職業であることをご存知の場合、つい本音が出て「メリハリがあるから私生活も充実する」と言ってしまう方がおられます。実際、経理をしている私の友人は決算が終わると有給休暇を使って旅行に出たり子どもとの時間を作ったりします。
悪意がなくても「他の部署より楽」だと思っているのかと勘違いされるかもしれません。現職の退職理由(休みがとりにくい等)をにおわせるような志望動機は避けましょう。
志望動機に困ったらエージェントサービスを依頼するのもアリ
どう考えても志望動機が決まらないという方は、プロの力を借りてはいかがでしょう。転職活動をされる場合、転職サイトに登録し利用する機会が増えると思います。その転職サイトのなかにエージェントサービスというサービスがあります。
エージェントサービスとは
エージェントサービスとは採用試験から内定までをサポートしてくれる転職のプロです。エージェントサービスに登録する企業は人材をゼロから見極めるのではなくお金を払ってエージェントに求めるスキルに達した人材を紹介してもらいそのなかからより自社に合った人材を採用します。企業から依頼料をもらうため無料でサービスを行うサイトが多いです。
転職サイトでは仕事の検索をされると思いますが、そこに載らない未公開案件もあり、エージェントサービスに登録した方のみその情報を得て採用試験を受けることができます。
エージェントサービスに登録し面接を受けることができたからといって内定が確定するわけではありませんが、たとえ不採用でもエージェントと一緒に何が悪かったのかを明確にし次の転職活動に活かすことができます。
また登録後にカウンセリングを行い、転職希望者の人となりを見極めるので、自分が気づいていない部分を褒めたり指摘してくれたりします。志望動機で何を伝えれれば良いか迷っている場合は相談すると的確なアドバイスをくれますよ。また「なぜこの会社」といった意地悪な質問への上手な切り返し方もレクチャーしてくれます。
登録が無料であるサイトが多いです。登録してみて志望動機などの相談に乗ってもらうだけでも収穫があるので、一度利用してみてはいかがですか。