10年ほど前「介護職は安定する」「やりがいがあって楽しい」「親の介護に役立つ」といった流れがあり、私の周りでも介護福祉士の資格を取得し転職する人がいました。介護職に転職した彼女たちがいま仕事に就いているかというと、そうではありません。
彼女たちになぜ介護職を続けないのか聞いてみると口をそろえて「やってられないから」と言います。この記事を読んでいただけているということは介護職に就いているか興味を持たれているかですよね。
あなたは介護職についてどのようにお考えですか?!就いてみたものの向いていない「辞めたいけれど潰しが効かない」と思っていませんか?!
今回は介護職の転職についてご提案します。またこれから介護職に就く方に、私の友人たちの声から介護職が「やってられない」と感じる理由をご紹介します。
目次
介護職やってられないと思う理由
実際に介護職に転職した私の友人たちから聞いた話から、やってられない理由を挙げます。
職場の人間関係がやってられない
どの職業でもそうですが「人間関係」がいちばんに挙がります。下記は施設で働いていた友人の意見です。
介護士の温度差にやってられない
私の友人のなかでたったひとり「天職だ」と介護福祉士を続けている人がいます。彼女は生まれたときから要介護の家族と一緒に暮らし手伝いが当たり前の家庭環境でした。
だからそれが仕事になってお金がもらえるなら一石二鳥だと介護福祉士の仕事を選んだのです。一生懸命に仕事をするなか、稼ぐことだけを目的にして転職してくる人たちを不快に思っています。
彼女(彼)らは最低限のことしかしない、介護職は面倒の繰り返しなのをわかったうえで仕事をしているはずなのに、それをあえて口にする、だから許せない。
親身になっていないし気分によって言葉遣いが荒くなるのも許せない。交代の時間がきたら適当に片付けて帰ってしまう。引継ぎすらきちんとしない。
でも人手不足だから辞められたら困ると上司が目をつぶっていて、彼女(彼)たちの振る舞いを許されるのが残念だ。
家族にしていることと同じようにお客さんにもしてるけれど、周りは仕事と割り切っていて、場合によってはマニュアル以下の仕事しかしないそうです。それを指摘しても好きで介護職に就いていない人は聞いてくれない、介護に対する温度差から人間関係はどんどん悪くなるそうです。
また、同世代が入所してせっかく仲良くなっても続けることができず辞めてしまい付き合いが終わるから、最近は割り切った関係を築くよう心がけていると言っています。
人間関係の複雑さにやってられない
下記は看護師との格差にモヤモヤする友人の意見です。
看護師の豊富な知識は凄いと思うけれど立場を尊重してほしい。信頼関係を築けているご老人の前で上から目線で指示されるのが凄く嫌だった。また、同じように働いているのに報酬に雲泥の差があるのもモヤモヤした。
私の友人は特に看護師との隔たりが嫌だったそうですが、女性が多く働く職場ではどうしても派閥やマウンティングが生じます。またよく働いているのに手を抜いている同僚と同じ待遇だとやる気が失せると言っていました。
世界が狭すぎてやってられない
下記は訪問介護をしていた友人の意見です。
介護職は狭い世界、正直ずっと一緒はキツい。みんな疲れていて話題に挙がるのは不平不満しかない。肉体的にしんどいのに、マイナスオーラが漂うワンボックスの中は心身にこたえた。
また、自分が時間をかけてセッティングしたのにお客さんの前で「違う」「これじゃ危険だ」と否定しお客さんの信頼を無くされたうえに1からセッティングし直された(嫌がらせ)瞬間、やってられないと感じた。
この友人は入浴サービスの訪問介護をしていました。器具や荷物がぎっしり詰まった狭い車に3人、会話は職場やお客さんの悪口や待遇への不満しかなかったそうです。
誰もがイライラしミスを指摘し合い協力しないのが辛かったとも言っています。定期的にグループ換えが行われても(はじめは会話が弾み楽しい)時間が経つと同じように不平不満しか言わなくなるそうです。
たしかに介護職は喜ばれる仕事でやりがいがあって報われる仕事ですが、力仕事と様々なストレスでスタッフの心は壊れかけていたと言ってしまいた。
また、この友人もそうですが、好きで始めた仕事ではなく求められる職業という合理的な考えから始めた方もいるので現実を知り疲弊しているのです。
介護職は報酬が見合わないからやってられない
事例でご紹介した友人は過酷な労働体系なのに看護師との報酬の差にガッカリし仕事のやる気が出ないと言っていました。
指摘を受け介護職に就く方への待遇を国レベルで改善させようとしているものの、多くの施設がカツカツの状態で運営しているので、肉体労働のわりに支払われる報酬は低いです。
一生懸命に働いてもそれほどお金にならない、介護職にやりがいを感じても報酬が見合わないと継続して働こうとは思えませんよね。
理想と現実のギャップにやってられない
経営陣との考えが合わないと介護という仕事が好きでも続けることはできません。
- 合理化を図る施設
- 理想だけの施設
- 人手不足の施設
「こうしたほうが良い」と提案しても効率が悪いと言われ却下されたり施設によってはひとりひとりの利用者さんに時間をかけないようにと命令されたりしていることがあります。もっとお世話したいと思っても介護する時間に限りがあると最低限のことしかできないのでストレスが溜まりますよね。
また上層部は「利用者が喜ぶイベントを企画しろ」と本来の仕事以外の企画を考えさせ業務を増やすけれど、人手不足だから仕事が回りません。利用者の方が楽しく過ごすイベントは大事だけれど手が足りていないのですべてが中途半端になっている施設もあると聞きます。
ケアドッグがやってきたり中学生がお世話体験に来たり、イベントが盛りだくさんの施設は一見楽しそうに思えますが、利用者のなかには静かに過ごしたい、イベントばかりで疲れると思っている方も結構おられるそうです。そういった意見があるのを知っていながら施設の評判を上げるために無理やりイベントを詰め込む施設長もいます。
勤務体制がやってられない
結婚や出産等ライフスタイルが変わっても続けることができるというメリットから転職したけれど、夜勤やシフト制の勤務体制で家族とすれ違いの生活が耐えられないという方もいます。
たしかに介護福祉士の仕事は若いうちに経験を積んでおいた方が子育てがひと段落したときに復帰しやすいし、どこへ引っ越しても地域を選ばずにできる仕事です。しかし子育て世代にとって我が子を夜間保育に預けて勤務に向かわなければならなかったり家族と休みが合わなかったりするのは辛いですよね。
「やってられない」の根源は待遇の悪さ
介護福祉士をしている(いた)友人が不満に感じる理由をまとめると、自分たちの地位の低さ(扱いや報酬の低さ)です。多くの介護福祉士さんが待遇に我慢し働いていますが、すべての施設や企業が待遇が悪いわけではありません。
要は待遇の良い施設を探し転職すればやりがいを感じながら続けることができるのです。
- 「働く職員は平等」という教育が行われている
- 人員が確保できている
- 報酬が見合っている
優良企業は看護師であれ介護福祉士であれ同じ職場で働く職員は平等に扱うしそういった教育をします。また、ライフスタイルに合ったシフトに入れるよう融通をきかせてくれる企業もあります。そして、いま問題になっている報酬の面も優遇している企業もありますよ。
仕事をしていて実感されていると思いますが、利用者さんやその家族はあなたがすることに喜び感謝してくれますよね。それが介護のやりがい、たいへんなことはたくさんあるけれど自分に向いている、やっていて楽しいなら好条件の職場に移動してスキルを存分に活かすべきです。
介護職にやりがいを感じるなら同じ業界に転職する
現在の職場ではやってられないと思っても環境が変われば介護職はやりがいや生きがいに変わります。同じ介護職に転職する場合に押さえるべきことについてご説明します。
3年以上は経験を積む
即戦力を求める介護職にとってスキルは重要です。特に他業界から介護職に転職して間もない方は少なくとも同じ職場で3~4年は経験を積み転職組でも介護の仕事を続ける意思があることやスキルを有していることをアピールしましょう。
アセッサーになる
アセッサーとは評価者を示しチーム内でのリーダーです。介護福祉士として3年以上のキャリアがあり介護福祉士実習指導者講習会を終了していなくてはなりませんが、アセッサーになっておくと自分の水準と即戦力であることがアピールできますよ。
待遇の良い職場に転職する方法
他の施設への転職を希望する場合も「介護職やってられない」と介護福祉士を辞めて他の業界へ転職する場合も、闇雲に転職活動をしてはいまよりも待遇の悪い職場を選んでしまったり自分の能力を活かせない職場に転職してしまったりする可能性があります。
転職するならいまよりも良い条件の職場を選びましょう。そのために、ご提案するのが転職サイトの利用です。
- 登録無料
- 隙間時間に求人を検索できる
- 企業側と直接やりとりができる
- 働きながらスカウトを待つこともできる
- エージェントサービスを受けることができる
多くの転職サイトは登録が無料、登録しアプリをダウンロードしたら全国の優良企業の情報をどこでも見ることができます。もちろん仕事を辞めてから転職活動をする必要はなく仕事を続けながら企業の採用担当者と直接やりとりをすることが可能です。
さらにスカウト機能があるサイトなら登録しスキルを記載しておくと企業の採用担当者から好条件でスカウトされることもあります。
学歴や経歴に自信がなかったり面接が苦手だったりする場合はエージェントサービスを受けることをおすすめします。エージェントサービスとは自分の転職活動を転職エージェントがサポートしてくれるサービスです。履歴書の添削や面接のコツをレクチャーしてくれるのはもちろん、カウンセリングを通してニーズを把握しあなたに合った企業を紹介してくれます。
一歩踏み出す勇気が大事
介護職を辞めて違う業界に転職した私の友人の失敗は転職を焦り介護職をしていたころよりも待遇が悪い職場へ転職したこと、それを防ぐには転職のプロに指南してもらうことをおすすめします。
ズバリおすすめは転職エージェントに依頼すること「いまさら潰しが効かない」ではなく、これまでしてきたことをきちんと評価してくれる企業に出会わせるのが転職エージェントの役目なので、転職エージェントの担当者と二人三脚で転職活動に臨んでみてはいかがでしょう。
同じ業界で仕事をするにしても他の業界へ移るにしても、今よりも良い条件の職場へ転職しましょう。