以前在籍していた会社に戻ることなんて少し前まではあり得なかったことですが、最近はそれを公に認める会社が増えてきました。辞めた会社に戻るなんてあり得ないと思っても、転職先でさまざまな経験をし、前職の良さを知ると「やっぱりあっちのほうが良かったかな」と思ってしまうこともあります。
そんなとき辞めた会社の上司から「うちの会社、前より待遇良くなった」「戻ってこい」などと誘われたら心が揺らいでしまいます。そんなとき、あなたならどうされますか?!今回は辞めた会社に戻ってこいと誘われたときについて考えます。
目次
基本的に出戻りはやめたほうがよい
私自身も転職経験者です。辞めた会社の同僚などとはいまでも飲み仲間なので、会社での出来事や待遇の変化を聞き「羨ましいな」と思うことがよくあります。
考え方は人それぞれ、自分自身や周りの経験などを聞いてたどりついた私個人の意見は、出戻りはやめた方が良いと考えます。その理由を詳しくご説明していきます。
その会社、なぜ辞めたの?!
まずはなぜその会社を辞めたのか、振り返ることが大事です。
- 待遇が悪かった
- パワハラ・モラハラを受けていた
- 人間関係に悩んでいた
- 自分の能力を発揮できる場所ではなかった
- 社風が合わなかった
私自身、学生時代の友人と比べ自分の会社の待遇が悪い気がしてコンプレックスを感じることがありました。同じ学歴で社会人になったのに会社によってボーナスの額が違うし(当たり前のことなのに気付けない)自分は身を粉にして働いているのに友人は休みが多いなど考えると自分はもっと待遇の良い会社に行くべきだと感じますよね。
転職理由に多いのが、パワハラやモラハラ、人間関係が悪いからです。ただ、どこの会社へ行っても人間関係を築くのは難しいと転職して改めて感じますよね。
「この仕事が自分に合わない」」どうやっても上手くいかない」「就活でここした内定もらえなかったから入社しただけ」ということはよくあります。そうなると、この会社では優れた能力が埋もれてしまうと感じより高みを目指し転職される方もおられますよね。
仕事の過程ではなく結果重視の会社であったり、自分とは価値観が異なる会社であったり、社風が合わないと毎日が苦痛です。
辞めた会社が「戻ってこい」と言ってくる理由
会社としても辞めた人間を再雇用するのは正直面白くありません。何かしらの不満があって去った人間なのですからもはや関わりたくないはずなのです。それなのになぜ「戻ってこい」と声をかけるのでしょう。考えられる理由を挙げます。
- 人材不足
- 人柄がわかっているから安心
- 即戦力が欲しい
- 教育をしなくても良い(予算削減)
- 人脈目的
- 少しだけ良い待遇で迎えれば戻って来させ誰もが嫌がる仕事を任せたい
日本が抱える現状ですが、圧倒的に労働者が足りていません。特にサービス業は顕著ですよね。ひとりの社員(店長)に他はアルバイト、縛ることができないアルバイトが急に休んだり来なくなったりしたときしわ寄せは社員にかかります。
補充する必要があるけれど社員一人を雇って教育するのに時間がかかるし予算がかさむ、それなら素性が明確でしかも経験があり即戦力となる辞めた社員に声をかけるほうが効率的なのです。
営業の方は経験があると思いますが、辞めた人をひいきにしていた取引先と上手くいかなくなり疎遠になることがあります。前任者が担当していた頃と商品は同じなのに、営業に行っても「○○さんだったら買うんだけどな」と言われます。業績が悪いときは辞めた社員の人脈も使いたくなるもの「戻ってこい」はその人脈を取り戻したいからかもしれませんよ。
私自身も転職を経験しそのひとりに当てはまりましたが、ステップアップのつもりで転職したけれど、それほど年収がアップしていないというケースは多いです。また大幅に年収がアップしたにもかかわらず、任される仕事量が増えプライベートの時間がまったく持てないまま何年も我慢している方もおられるはずです。より良い自分になるために転職したのに「ちょっと違う」を感じたとき「辞めた会社のほうが待遇よかったな」と後悔するものです。
そんな良いタイミングで「戻ってこい」コールがあったら、飛びついてしまいますね。会社としたら本来は大幅に報酬アップしなくてはならないポストでも戻りたい気持ちが先行している元社員に対しては少し待遇を良くするだけ、お得感満載なのです。
出戻りは会社にとっては裏切りものです。あなたをより良くしたわけではなく駒として活用したいだけ、会社の甘い誘いに乗ってはいけません。
出戻りの末路
ここからは辞めた会社に戻ってはいけない理由について具体的にご説明します。
期待に応えないと即お払い箱
中途採用で入社した方については仕事を覚えてもらうことからはじめるので、即戦力といってもそれほど期待されていません。しかし、中途採用枠ではなく仕事を既に知っている出戻り、できるのが当たり前がスタートだからはじめの評価がすでに100点です。
つまり、仕事の感覚が戻らなかっただけで「あの人大丈夫?!」と思われていまします。それが重なるとはじめの高評価からどんどん減点されていき「やっぱ出戻りはダメだね」と言われる可能性があります。
社員たちは良く思っていない
もともと居る社員もあなたが辞めた後に入社した社員も、出戻り社員を正直良く思いませんよ。
- 社員たちのテンションが下がる
- 見下されている場所に戻るの?!
特に女性に関してですが、人間関係が出来上がっている中に出戻り社員(過去の人間)が加わるのはしんどいです。下記は私自身の経験です。
寿退社した先輩が出産を経て、上層部に誘われ復帰されることになりました。先輩と関わっていた当時新人だった私には後輩ができチームリーダーとしてまとめる立場になっていたし、もちろん当時の先輩よりスキルが上になっていました。そこにとりあえずの補助(役職なし)として配属された先輩、後輩である私の指示を受けるなんて嫌だと思っていたでしょう。
案の定「前はこうだったよ、〇〇しなきゃダメだよ」「前のやり方のほうが良かったよ」と後輩たちの前で考えを押し付けます。プライドを傷つけられモヤモヤしましたが、それ以上に後輩たちが出戻りの先輩を受け入れませんでした。あからさまに距離を置き先輩の指示に従わない後輩たち、なんとかしろと私に言う先輩、厄介な人が戻ったな、人間関係を調整する毎日が苦痛でした。
後輩たちは愚痴を女子社員(他の課)に拡散、さらにほかの課の古い社員から聞いた先輩のゴシップネタで炎上、立場がどんどん悪くなっていき、その先輩は孤立、1年もたたないうちに退社していきました。
私の先輩のような態度をしないまでも、一度会社を辞めた人間が戻るのは社員たちにとって面倒な存在であることに変わりはありませんよ。
辞めた自分がいない間に新しい風が入ったり業界が変わったり、少なからず変化しているのに出戻った人だけ当時のまま、ギャップが生じますよね。だから「前はこうだったよ」「前のほうが大変だったな」など自分が在籍していた当時を良く言うと不快、嫌われ者になります。
また、その会社で働いている人々にとって出戻りは惨めに見えます。「イヤだから辞めたくせに新しい会社で通用しなかったから戻ってきたんだ」「社会は甘くないよ」丁寧に接してくれるのは社会人としてのモラルを守っているだけ、心の中では見下されている可能性があります。
一度辞めた人間は出世コースから除外される
会社側の考えとして仕事の成果は求めるけれど(100%の仕事を求める)一度辞めた人間を信用するわけにはいかないから重要なポストにつける気はありません。どんなに仕事ができても同じポジション、ずっとその会社で仕事をしている同期や後輩が管理職に就きその下で働くことになります。
プライド、許せますか?!そうなった時点で辞めようと思います。
辞めた会社に戻るべきでなかったと自身も後悔する
「戻ってこい」必要とされ大義名分のもと戻ってきたのに、感覚が戻らなかったり能力の低下や同期や後輩たちから遅れをとっていることに気付いたりすると「自分の居場所ではないかも」と気づき始めます。
戻ってみると自分が思う以上に期待されていないしできない自分を受け入れたくなくても受け入れざるを得ない状況に追い込まれます。ここで辞めてしまうとまた転職することになりますね。
ある採用担当者が言うには、出戻りを失敗した人の転職活動はどんなにスキルがあっても印象が良くない(人として欠けているものがあるかもしれない)から書類選考の時点で採用したくないと思うそうです。
いまの会社に不満があるなら出戻りせず新たに転職するほうが賢い
隣の芝は良く見えるものですが、辞めた会社の元同僚たちから良い話を聞いたり上司から「戻ってこい」と誘われたりしても出戻りの末路は結局転職です。たしかに求められたり美味しい話を持ってこられたりすると悪い気はしませんが、勢いに任せず一息ついてから自分はなぜあの会社を辞めたのかを振り返ると「いやいや、無理」と思うはずです。
しかも無駄に出戻りをしたがために職務経歴書の印象を悪くし、能力以下の待遇しか望めないかもしれません。だから、もしも前の会社から復帰の打診があってもそれにこたえてはいけません。
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