2018年4月に障害者の法廷雇用の割合が民間企業は2.0%から2.2%になりました。2020年度までに2.3%に引き上げることが決まり、国が障害をもつ方にとって就職しやすい環境を整えようと努めています。そうはいってもなかなか就職先が見つからないのが現状で、数値だけでなくなかみを充実しなくてはならないことが課題です。
特に、うつ病などは目に見えない病気なので周りに理解してもらうことが難しく、実際にどれだけの方が社会復帰し働かれているのかわかりませんよね。ただ、ここ最近の動向として精神障害者枠の就職は売り手市場と言われています。
いまうつ病から復活しようと就職活動をされているなら、障害者枠を考えてみませんか?!また、いつ誰がどんなタイミングで精神疾患を患うかわからない時代、もしも自分がうつ病などになって退職後に就職したいと思ったときのために、知識を得ておきましょう。
今回はうつ病から社会復帰をする場合、障害者枠で就職をするメリットやより働きやすい環境に就職するための方法についてご提案します。
目次
うつ病患者は日本にどれだけいる?!
WHOの発表によると、世界でうつ病患者は3億人以上いるそうで、どの年齢層を見ても女性の発症率が高いとのことです。そのなかで日本人のうつ病患者は約500万人、これは医療機関にて受診しうつ病と診断された方の数、つまりご自身がうつ病だと認識せず心身を患い悩んでいる方もたくさんおられるはずです。
はじめは普通に就職したけど・・・うつ病は紙一重!
うつ病を患う年齢は人によって異なりますが、社会人になって何かのストレスが引き金で患う方はけっこう多いです。下記タイプの方はいまはうつ病でなくても、近い将来患う可能性があります。
- 責任感が強い
- 秩序を乱さない
- 仕事を一生懸命にこなす
- 凝り症
- 執着する
仕事の資料を作るとき抜かりなく見やすいものを作ろうと思いますよね。そうなるとオーバーワークは必至となります。上記は仕事をするうえでとても大事なことですが、行き過ぎてしまうとうつ病を患うきっかけになります。
例えば、バブルの時代だったら徹夜をして仕上げた仕事の成果は残業代として還元されていましたが、いまは違いますよね。褒められるどころか、残業することは経費の無駄遣い(残業代が出なくても光熱費がかかる)仕事ができない証拠だと評価を下げる材料になってしまいます。
評価されなかったり努力が還元されなかたりすると精神を病みうつ病になってしまいます。その状態を放っておくと人生を棒にふってしまうことになるので、早く治療を受け社会復帰されることをおすすめします。私の知り合いの話をします。
私には近所に幼い頃から憧れていたお姉さんがいました。大手企業に勤めパリッとスーツを決めて格好が良い車に乗って、将来はあんなお姉さんになりたいなと思っていました。
生き生きと仕事をされているように思えたのですが、しばらく(数年)見かけないうちに表情や体型が変わり始めます。転勤しひとり暮らしをはじめ心身のバランスを崩されたこと、仕事や社内恋愛がうまくいかなくなりうつ病を患い退職されたと聞きました。
現在、そのお姉さんは40代後半で独身、実家で両親と家事手伝いをしながら生活されています。うつ病を患い20年以上経ったいまでも母親と一緒でないと外出できない状態です。
お姉さんの変わり果てた姿を家族はあまり見せたくないらしく、就職は今後も考えていないそうです。就職しないことがご本人の意思なのかはわかりませんが、ポテンシャルが高い人材が埋もれていて、個人的にもったいないと感じます。
近所のお姉さんのように社会人になって数年経ってか何かが引き金でうつ病を患う方が増えていると聞きます。もちろん私やこの記事を読んでくださっている方も紙一重、他人事ではありません。
うつ病患者の就職は一般枠・障害者枠どちらも応募可能
うつ病を患った場合、各自治体に申請すれば精神障害者保健福祉手帳を受け取ることができます。はじめに少し触れましたが、日本では障害者雇用率制度に沿って企業が定められた定員(2019年現在民間企業は2.2%)の障害者を雇用するよう国が義務づけていて、障害者手帳を持っている方は一般枠と障害者枠どちらの募集からも応募することができます。
精神障害者保健福祉手帳を持っていると公共機関の割引や税金の免除を受けることができます。例えば障害の等級にもよりますが、通院に高速道路を使用した場合は高速料金が割引対象だし、市営の駐車場を利用した場合も駐車料金が割引対象になることがあります。また、通院に使用する自動車の自動車税が免除になることもあります。
通院するのも金銭的に負担が大きいですが、精神障害者保健福祉手帳を持っているとそういった負担を軽減することができます。
うつ病を障害として受け入れるのは就職して社会復帰する近道
うつ病を患い就職を考えるまで回復した場合(元気になったため)自分が障害者枠で就職することは、はじめは考えないと思います。
障害者枠で就職することへの拒絶やそれを他人に知られたくないというプライドもあるでしょう。しかし、私たちは生きていかなくてはなりません。生きていくには就職しお金を得なくてはなりません。うつ病はいつ再発するかわからない病気、普通に働けていても厚ある日突然仕事へ行けなくなるかもしれません。
そんなときは国が設けた制度を存分に利用するべきです。うつ病などの精神疾患は誰にでも起こり得ること、障害者手帳を手にしていることを恥じる必要はないし障害者枠を使って就職するほうが結果として生きやすいですよ。
【就職するために】うつ病を公表するメリット・デメリット
障害者枠を使って就職をするということは職場の同僚に自分の立場を公表することになります。そのメリットとデメリットについてご説明します。
メリット
- うつ病を患っていることを知ってもらえるのは楽
- 同僚の理解を得られる
- 通院時間を確保できる
- 企業と医療機関の連携がとりやすい
- 罪悪感に駆られない
はじめから障害者枠で採用されているのでその方がうつ病を患っていることを同僚たちが把握・理解することができます。
私の夫の職場にも障害者枠で入社されている方が何人かおられます。夫の所属する部署にも数年前からうつ病の方が就職し事務の仕事をされています。体調が良い日は楽しく接し、体調が悪そうな日はそっとしておくと、職場の皆で徹底しています。
はじめは腫れ物に触れてはいけないと気を使いまくっていたけれど、付き合いが長くなるにつれどう接すれば良いかわかってくるから、いまはまったく気を使わなくなったそうですよ。
その女性社員はフレックス制度を使ったり体調がすぐれない日は早退したり、上司と相談しながら仕事のボリュームを決めておられるとのことです。障害者枠だから仕事には特別期待しないのだろうと思われるでしょうが、夫の職場で働くその女性は経理を任され自分ペースで仕事をされています。
企業のなかには医務室があって産業医や看護師が在中しているところもあり、うつ病を患っておられる方は辛くなったらそこへ休憩に行くことができます。職場にそういった環境がなくても職場と医療機関が連携をとって症状が悪化しないよう取り組むことができます。
SNSの投稿を見ると、うつ病だったことをふせて就職した場合、うつ病が再発したとき嘘をついて仕事を休まれることが多いそうです。そういった行為に罪悪感を覚え休んでいるのに心身が休まらず結局欠勤が長引いてしまうというケースがあります。
はじめは心配する同僚も休みが長くなると、ただ弱い人というように捉えるようになります。がんばって仕事をしているのにうつ病を公表しないがために理解を得られず信用を失うのは悲しいことですよね。障害者枠で就職していることを知っていると、その人がなぜ休みを取っているのかが明確、お互いに良いと考えます。
デメリット
- 年収が下がる
- 簡単な仕事しか与えられない可能性がある
障害者枠で就職した場合、これまでの報酬よりも少ない契約になる可能性があります。それは突然欠勤したり軌道に乗るまで時間がかかったりすることを考慮された金額だからです。もちろん能力が職場で認められたら昇給もあります。
事例で挙げた夫の職場では障害者枠で就職をしても他の人と変わりない業務を行っていますが、なかには軽作業を担当させるという職場もあります。ただ、こちらも仕事に慣れ、時々休むことがあっても変わりなく業務をこなせることを示せば次第に他の方と変わらない業務を任されるようになります。
うつ病など精神障害を患っている方の就職をサポートする転職サイトがある
転職サイトはご存知かと思いますが、転職サイトのなかに障害者枠を対象に就労や職場に定着するのを支援するプロがいるのをご存知ですか?!
自分でハローワークへ行って障害者枠に応募することもできますが、より細やかにサポートを受けたいと思われるなら障害者向けの就職サイトを利用された方がスムーズに就職ができます。サイトによって多少異なりますが、下記のようなサービスを受けることができるので安心して仕事をすることができます。
- 理解ある職場のみ紹介
- 面接などの指導が充実している
- 入社後もフォローしてもらえる
障害者枠での雇用のためうつ病を患っていることを理解し勤務体制など無理なく働ける環境を整えている企業のみを紹介することができます。もちろん紹介してもらったからといって100%採用されるわけではありません。面接での受け答えの仕方や、企業に伝えにくいことを上手に伝えるコツなどもレクチャーしてくれます。
なにより入社後が不安ですよね。入社後にできた悩みやトラブルなども相談会などを設けフォローしてもらえるので就職が決まったから縁が切れるというわけではありません。転職サイトによっては職場に訪問し近況を聞いてくれたり職場に言いづらいことを代理で伝えてくれたりします。
私たちは生きるためにたくさんの人と関わらなくてはなりません。障害者枠からの就職もより生きやすい社会復帰の第一歩、まずは障害をもった方を支援する転職サイトを覗いてみてください。コラムがあったり体験談が掲載されていたり、とても勉強になりますよ。